AEDのやさしい使い方(2)。

AEDの機器の使い方の基本的手順は、AEDのやさしい使い方(1)。で説明したとおりとなりますが、実は現在は以前の手順と多少異なり、すぐにAEDの使用に入らずに『「人工呼吸」や「連続心臓マッサージ」による「心肺蘇生法」を最初に行い、その後できるだけすみやかにAEDを使用すること』、という手順に修正されています。


この修正は、アメリカ心臓協会が制定した『心肺蘇生法国際ガイドライン』によってなされた内容がベースになっています。

心肺蘇生法国際ガイドライン』とは、心臓突然死、急性心筋梗塞、脳卒中などに対応した、救命救急処置の国際統一ガイドラインです。

このガイドラインは、救急医療における絶対的な指針として世界各国に受け入れられており、2000年に最初のガイドラインを発表後、現在は最新版として『心肺蘇生法国際ガイドライン(G2010)』が発表されています。

心肺蘇生法国際ガイドライン 2010のポイント(日本救急蘇生普及協会)


実は最初の2000年のガイドラインの段階では、心肺蘇生法を行わずにAEDをまず使用する「AED First」(“まず、AED”)のやり方が、推奨されていました。

しかしその後、海外で実際にAED導入後に期待された救命率の向上が得られなかった事例があったことから、その理由の調査を行ったところ、AEDによる除細動を優先しすぎたため「除細動」の前に心肺蘇生法を行う割合が減少したためであったことが、明らかになりました。


したがって現在は、「AED First」(“まず、AED”)から、意識と呼吸がないことが判明した段階ですぐさま「心肺蘇生法」を行い、その後にできるだけ速くAEDによる除細動を行うという、「AED Fast」(“すばやく、AED”)へと軌道修正されています。

心停止直後であれば呼吸を行わなくても、血液内の酸素が十分に存在していることから、AEDを比較的手近に入手できる場所で救命活動が行われる場合には、AEDが到着するまでの間に連続心臓マッサージを行うことにより、「除細動」の効果も高まるわけです。

さらに言えば、仮に救急車の到着までにAEDが入手できなかったにせよ、この連続心臓マッサージを行うだけでも相当の効果が期待できるので、その正しいやり方を学んで必ず行うようにしましょう。


なお「人工呼吸」については、正直な話、目の前で見知らぬ人が突然倒れたりした場合、直接に口を接触して人工呼吸を行うことは、抵抗を感じるものでしょう。

上述の『心肺蘇生法国際ガイドライン』においても、口腔内の病気の感染防止の観点から、「人工呼吸」は感染防止用の特殊マスク(「フェイスマスク」・「バッグバルブマスク」)があった場合に行うというやり方が推奨されています。

したがってそれらが手に入らない場合は、現実的には『連続心臓マッサージを行った後に、すみやかにAEDを使用する』というやり方になるでしょう。


やり方については次のAEDのやさしい使い方(3)。でご説明しますが、一人で対応しているのか、救助にかかわれる人が回りに複数いるのかによっても、注意すべき点が多少異なってくることにご留意ください。


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